順風満帆な社会人生活でした。がんばるほど評価は上がりました。毎日残業は当たり前。平日でも同僚や先輩と飲みに行き、有休もろくに取りませんでした。とにかく急いで、すぐに、はやく、全部やる。それをモットーにしていました。ちょっとしたトラブルがあれば「もうやだ、消えたーい」と笑ってリカバリーに奔走しました。
しかし、ある時を境に初歩的なミスを連発するようになりました。仏の顔をしていた上司が鬼の形相に変わり、所かまわず私に怒鳴ります。私は自分を責めました。今までできていたことができなくなって、自分が信用できなくなりました。こんなに何もできない自分は生きていていいわけない。笑いながら「消えたーい」と言っていたころの私はもういません。そこには真剣に「消えなければならない」と考え、震えている私がいました。
上司から休職を言い渡され、一年が経ちました。元気にはなりましたが、まだ会社の最寄り駅付近にいくと震えと涙が止まらなかった頃、主治医からリワークに行ってみないか、と提案がありました。
大好きな街、北千住にもリワーク施設があると知り、見学しました。初めての施設で良いも悪いもわからず、ただ北千住だから、家が近いから、という理由だけで入所を決めました。 ここに通えば何とかしてもらえるだろう。そんな甘えもありました。
長い前置きになりましたが、以下がリワークRAKUに通所して私が役立った、と感じた点です。
★心理教育 ぼんやりとしか認識していなかったうつ病への知識を確かなものとして学べました。疲労、ストレス、睡眠、アンガーマネジメントなど、現代人必須の知識だと思います。
★認知行動療法 自動思考、行動活性化、ONとOFFの関係、コラム法…全てが大切な知識でした。授業が実践的で面白く、ただ本を読んだだけではここまで楽しく学ぶことはできなかったと思います。
★ヨガ体操 感覚を味わう、という姿勢を教えてくれました。自分の体なんてどうでもいいと思っていましたが、ヨガで体の声を聞くごとに、生きている。生きていていい。と思えるようになり、救われました。
★座学は学びっぱなしではなく、実践的なロールプレイングへと繋げるプログラム構成が非常にありがたかったです。日常の雑談でも「それをアサーションスキルを使って言ってみて」などのツッコミが入り、笑いながら実践ができました。
★スタッフの皆さんの適切適格な助言にも救われました。今でも心のなかにスタッフの皆さんがいて、私に助言をしてくれています。今後もフォローアップでお世話になります。
★卒業していった先輩たちがずっと見守っていてくれて、得難い大切な友人たちになりました。
個人的な話に戻ります。
スタッフさんの指摘で心理テストを受けた時、自分にADHDの傾向やのんびり屋であることがわかりました。
本来の私は実は、衝動性が強く、マルチタスクは苦手、すばやく動くことも苦手。雑音ばかりの環境は集中力が途切れがち。優先順位をつけるのが苦手… そんなテストの結果に愕然としました。苦手、と結果が出たことは全て会社で日常的に私がこなしていたことでした。なにかの間違いでは?と問いかけるとスタッフの方から「あなたは本来苦手なことを、人一倍努力して働いてきたのです。よくがんばりましたね」と言われました。その後、何回か同じテストを受けましたが、結果は変わらず、いよいよのんびり屋が確定しました。過去の自分が崩れ、自分が分からなくなりました。混乱している私にスタッフさん達が様々なアドバイスや実践の機会をあたえてくださり、ゆっくりと時間をかけて、私は本来の自分を受容し、理解し、再構築していきました。スタッフさんとリワークの仲間たちはずっと私に伴走してくれていました。
私は会社に自分の弱点を伝え、本来の自分はこうである。と伝えました。とても緊張しましたが、もう会社にすがらないと生きていけない、なんて考えはありませんでした。無事に復職が決まり、いよいよこれからが実践本番です。
思えばADHD傾向のある私は「普通の人」にならなければと、自分の足に合わない靴で人生を歩いてきたようなものでした。合わない靴で無理やり走ってきたので、私の足はボロボロに、そして靴も壊れて使い物にならなくなりました。そんな時、新しい靴をつくるための教習所がこのリワークRAKUだったのだと思います。
私は裸足になり、骨が曲がり爪が欠け、傷だらけになった足をスタッフや仲間たちに見せました。汚く滑稽な足ですが、みんな受け入れてくれました。そこでアドバイスをもらい、技術を学び、失敗を重ねながらようやく一足の靴を完成させたのだと思います。自分の足の形に合った靴です。これを履いて私は社会に戻ります。きっと靴擦れができたり、まだ骨が当たる所もあると思います。その度に少しずつ直して、時には靴を脱いで裸足で踊ったりして、今後の人生を歩いていくのだと思います。
あなたがもし今、生きづらさを感じているのなら、どうか足元を見てください。
合わない靴を履いていたら、新調をおすすめします。一人じゃとてもできません。仲間や先生が必要です。そんな場所に出会えることを祈っています。
どうか一歩でも長く、自分の道を歩いて行けますように。
掲載日:2026年01月08日